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「坂の上の雲」 第10話「旅順総攻撃」感想


血生臭い戦争が始まる。


これから始まる旅順攻略戦の凄惨さを連想させるような、そしてその先に待ち受ける、日本海海戦に至る連合艦隊の苦悩を連想させるような、そういうオープニング。

もちろんこれは、僕自身がその歴史を知っているから余計にそう感じただけであって、製作者の意図ではないのかも知れませんが、とにかく、僕はなぜかそう感じたんです。
そんなことを思いながら、待ちに待った1年越しの歴史的ドラマは、幕を開けました。


ただ、自分にとってこの1年間は長かったかといえば、ほとんどの時間は『坂の上の雲』のことを忘れていたこともあり(え…?汗)「なんだ、もう始まるの?」という感じでした。
去年から読み始め、途中になっていた原作は途中のページで止まっていて、それはこの1年間読まれることはなく、気づいたらこの日を迎えていました。

…ということで、今年は「原作はこう書かれてある」的なアプローチはできません。
 済まぬ―
リラックマ58「ペコリ」




今回の主題は、203高地への作戦変更に至るまでの旅順要塞攻略戦です。
多大な犠牲者を出しながら、最終的には203高地を占領し、旅順港に潜むロシア艦隊に痛撃を与えられたからこそ、連合艦隊はあのバルチック艦隊に対して十分に準備をした上で迎え撃つことができた。
莫大な犠牲者数と、旅順攻略におけるその後の作戦の成功と、両方をてんびんにかけ、それがどちらに傾くかによって、乃木は愚将にも稀代の司令官にもなり得る。
評価の分かれる乃木の戦(いくさ)を、このドラマでどう捉えるのか。
ここは、非常に興味がありました。


まず感じたのは、日本とロシアの描き方の巧さですね。
日本サイドで描きながらも、必ずしも日本を正当化していないので、視聴者はこの戦争を極めて客観的に見ることができる。

一方、ロシア軍の存在は、秘密のベールに包み込んだままにしているのですね。
旅順要塞の様子を含め、一切、彼らの動きを映像にしないことで、未知の敵と遭遇する恐怖心を煽っている。
このドラマのリアリティを増幅させるいい演出だと思いました。


数年前の、クリント・イーストウッド監督の「父親たちの星条旗」を思い出します。
硫黄島の攻略に大部隊を投入したアメリカ軍が、数では圧倒的に劣る日本軍の要塞からのゲリラ戦に、予想外の苦戦を強いられる。
あの映画でも、アメリカ版(=「父親たちの星条旗」)では日本軍の姿をあえてベールに包むことによって、アメリカ側の底知れない恐怖を演出していました。
今回の「旅順攻略戦」は、あの映画にヒントを得たのでしょうか。





第1回旅順総攻撃


…そして、旅順攻略を開始する陸軍。
今までベールに包まれていた旅順要塞の攻撃力が、ここで明かされるんですよね。

ここで初めて、ロシア人の姿が画面に入ってくる。
彼らが必死になって戦うのは、当然なんですよ。
旅順は、遼東半島の小指の先っぽ。
援軍や補給も望めず、いわば「守り抜くか、しからずんば死か」の2択しかない。


旅順攻撃は、維新後初めて日本が「近代」というものの恐ろしさを知らされた、最初の体験であったかも知れない。
それを知ることを、日本人は、血で贖った。



この言葉は、この当時の日本の置かれた状況を的確に表現していると思いますね。
上でも書いてように、今回は原作を読んでいないので分からないのですが、恐らくこの言葉は原作にもそのまま出てくるのでしょう。
「血で贖う(=血をもってその代償とする)」の言葉が、映像で見事に表現されていました。
どこでロケをしたのでしょうか。中国?とにかく、すごい迫力でした。




一方、満州方面軍。
後に大平原を舞台にした大規模な会戦が行われるのですが、その息吹はすぐそこまで迫っていました。

日本に残る秋山家の平和なヒトコマから一転して、緊迫した音楽とともに戦闘シーンに移る描写は、凄まじいものを感じました。
演出にかけては超一流なんですよね、このドラマ。
もはや映画の域に達しています。





深い。世界は複雑だなぁ。


高橋是清がぽつりと漏らした言葉。
このドラマが目指そうとしているもの、描こうとしているものを象徴した言葉のようにも思えます。

原作『坂の上の雲』は、今更言うまでもなく、司馬遼太郎の最高傑作のひとつです。
途中で読み止まってしまった自分が言えることではないかもしれませんが、それでもあえて言えば、この作品は、日本贔屓に描かれているきらいはあるものの、その当時の日本とロシア、日本と世界の力関係を的確に読み解き、この日露戦争が単なる日本VSロシアの2国間の局地戦でなく、世界が注視し、世界を動かした、いわば「世界大戦の前哨戦」であることを明示する内容となっています。
(以前に、僕のブログ内で「坂雲」解説番外編~第0次世界大戦の衝撃~として取り上げたことにもつながります)

そういった深遠な内容を、ドラマ内で表現するのか、しないのか。
正直、この3年がかりのドラマが最初に放映された当初は、僕はそこまでの深い内容を期待してはいませんでしたし、そもそも、日露戦争についてのそういった事実すら知りませんでした。

しかし、このドラマはそこに挑戦してゆくんですよね。
昨年の第2部で、そういった残像が見え始め、そしてこの第3部では、その全体像がいよいよ現れようとしているように思えます。
日露の会戦をアメリカとイギリスの両大衆紙が取り上げ、それが戦争に与える影響を、日露の戦場の合間にはめ込むことによって、その世界観を上手に表現している。
見る側は、満州周辺だけでなく、世界地図を頭に思い浮かべながら、このドラマを見るようになってゆくのです。

このドラマ、海外で放映されてもきっと高い評価を受けます。確信できます。






…そして、旅順攻略へ。
乃木希典が、そして最後に、最終的に、203高地への攻撃目標変更に至るまでの過程。
今回は、その背景が丁寧に描かれていたと思います。

乃木は英雄か、無能の軍人か。
記事の最初に、その疑問を投げかけました。
しかし結局は、それは問題ではなく、歴史の激動期に必死に生きた、ひとりの日本人である。
彼と、彼を取り巻く人々の必死に生きた足跡が、確かにそこにある。
それを感じました。
そして、次回につながる、美しいエンディングであったと思います。




それと、もうひとつ。当たり前のことですが。

架空の物語ではないんですよね。
たかだか100年前に、僕らのそう遠くない祖先が体験したことなんですよね。
そう思いながら見ると、より親近感が増すと思います。

次回、203高地。



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