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続・龍馬伝 (14)無血開城への道~(結)勝・パークス会談~


龍馬伝第4部タイトル(雲の



時をさかのぼること、およそ5年前。

文久3(1863)年7月初旬。
薩摩藩の転機となる、大事件がありました。
日本全土に攘夷の嵐が吹き荒れていたころ、その急先鋒として、イギリス商人を些細な理由で殺害した(=生麦事件)薩摩への見せしめとして、イギリス艦隊が鹿児島湾に侵入、城下に報復砲撃を行ったのです。


薩英戦争


薩摩の砲台は全壊、市街地の一部も焼失しましたが、薩摩隼人の意地は貫き通します。
皮肉にも、この戦闘によって、薩摩は攘夷の不可能とイギリスの軍事的水準の高さを知り、イギリスは、強国にも屈せず意地と誇りをもった勇者が薩摩の地に眠っていることを知る。
両者の接近が、やがて、イギリス流の近代軍事力を身につけた薩摩によって討幕を成し遂げたことに繋がってゆくのです。



そのイギリスの日本全権が、この人物。
日本にとって彼は、イギリスそのもの。
彼を動かすことが、イギリスを動かすことであったのです。
さて、イギリスを動かすことは、薩摩を動かすこと。
薩摩を動かすことが、ひいては新政府を動かすことになる。

つまり、この男を動かすことが、新政府を動かすことにつながるということです。


パークス2



勝海舟が、この関係に気付かない訳がありません。
西郷が京から江戸に戻ってくるちょうどその頃合いを見計らったかのように、パークスに会いに行きます。
当時、イギリス公使館は横浜にありました。
そこに、ふらりと勝海舟が現れます。アポなしで、パークスに合わせるよう言うのです。

横柄で頑強な性格で有名なパークス。
「面談の約束もせず来るような、そんな失礼な奴とは会う必要なない」
適当に応接室にぶち込んでおけば、やがて飽きて帰るだろうと、すっぽかします。

一方の勝海舟。
応接室に通されたのはいいが、待てど暮らせどパークスは来ず。
こっちはこっちで、江戸っ子の意地があると言わんばかりに、待ち続けます。

夕方。
とうとう根負けしたパークスが、勝の前に現れます。
西洋と東洋。ふたつの国の頑固者同士が、初めて膝を突き合せて話をすることになるのです。


【第14回】無血開城への道(結)
     ~勝・パークス会談~



勝海舟が本当に話したいのは、新政府軍との江戸城開城をめぐる一連のこと。
しかし、彼はパークスの立場もよく理解していました。
実はイギリス・フランスなど諸外国は、日本の内戦(=戊辰戦争)については中立の立場を取ることを協定として結んでいたのです。
内々での支援はともかく、イギリス公使が表立って介入することはできない。
よって、いきなりその話を持ち出せれても、パークスは返答に困るだろう。
ここはあえてその話を避け、相手が話しだすのを待とう。



「そういえばパークスさん、先日、貴国の方が出入りする教会で、うちの侍どもが無法を働いたそうですね。
 あれは大変、申し訳ない。
 あの件については、彼らを呼び出し、相応の罰を与えるつもりです。
 あと、この横浜でも、貴国の諸君に、道端で嫌がらせをしてくる輩がいると聞きました。
 とっつかまえて、横浜の町から追放するつもりです。
 あと、あの件もありましたね。
 ああ、あと、あの件は…」



当時、幕府とイギリスの間に起こっていた問題をひとつひとつあげ、それらに対し、幕府としての対応をひとつひとつ丁寧に話していきます。
パークスの頑強な心にも、届いたのでしょう。
「この男は、いつもの幕府のおカタイ連中とは訳が違う。物事に対して柔軟で、かつ誠実で、自分と同じような頑固さや意地も持っているのだろう。そして何より、人を惹きつける何かを間違いなく持っている」

そして、確信します。
「この男は、信用できる」


パークスは、ここで初めて、江戸城を巡る内戦について触れるのです。

「ところであなた方は、京の新政府によって、徳川幕府の本拠地である江戸城を総攻撃される危機に直面していますよね?
 その危機を、あなた方はどう乗り切るおつもりですか?」


その瞬間を、勝海舟は待っていたのです。
パークスを説き伏せ、イギリスを味方につけるこの瞬間を。




ここぞとばかりに、勝はたたみかけます。

「パークスさんも気になりますか?
 実は、我々には作戦があって、もし、万が一、彼らが攻めてきた時には…」


今までの西郷との交渉の過程から、江戸の焦土作戦に到るまで、すべてをあけっぴろげに話します。
そして彼は、自分たちの望みを、決意を、彼に伝えるのです。


勝海舟アップ2(天下の公道)


それこそが自分に与えられた使命であると、彼はパークスに訴えるのです。


「天下の公道」

個人や藩の利害を超えて、日本人がひとつになり、ひとつの国家を作り上げる。
朝廷や一部の限られた人間が主役の国家でなく、民衆が主役の、民衆が主権をもつ、国民国家をつくる。
「公(おおやけ)」とはそういうことだと、彼は言うのです。




パークスは、驚いたことでしょう。
イギリスの議院内閣制や、アメリカの大統領制に匹敵する、極めて先進的な民主的思想。
それを、在野である諸藩でなく、徳川家の人間が持っていることに。
そして、それを揺るぎない信念で実行しようとしていることに。
パークスは一言、

「Very good.」


その後、ふたりはイギリス軍艦内で一にディナーを取り、もし新政府との和解が決裂して戦になった場合は、慶喜をロンドンに亡命させること、その可能性も含め、今後1ヶ月はイギリスは状況の推移を見守るため、軍艦を江戸周辺に停泊させること、などの合意を得ます。
薩長寄りだったイギリスが、この会談によって、本当の意味で中立を約束してくれたのです。
勝海舟にとっても、大きな成果でした。




後日、パークスは西郷とも面談し、新政府の最終決定を確認しています。
西郷が、慶喜の処遇も含め、江戸城は平和裏に明け渡される予定だと伝えると、パークスは満足げに、西郷に言葉を添えます。

「Very good.
 国際法上でも、降伏を宣言した相手に武力行使を行うことは、認められていない。
 あなた方の判断は、万国公法に照らしても何ら落ち度のない、パーフェクトな決定である」


西郷はそれを聞き、安堵したことでしょう。




4月4日。
江戸城に新政府軍の交渉団がやってきて、細かい打ち合わせをします。
江戸にとっては歴史的な瞬間が、しかし物々しいことはなく静かに、迫っていました。




4月11日。
江戸城が、新政府軍に明け渡されます。
世に言う、江戸城無血開城です。
大きな混乱もなく、とどこおりなく引渡しは行われました。
慶喜は江戸を去り、水戸へ向けて出発します。


あまりのあっけなさに、江戸市民はポカンとしたことでしょう。
大げさに騒ぎ立てた幕府を見て、こう皮肉った人もいるかも知れません。
「大山鳴動して鼠一匹、江戸城下」
しかし、その鼠一匹を出すために、勝や西郷はじめ多くの人々が命がけで働いたことを、江戸の多くの民衆は知らなかったことでしょう。


立て札(新政府論告)300


江戸の町には、次のような立て札が立てられました。
この日から、江戸城は、新政府のものとなったのです。


________________________________________________________


勝は、江戸城を救いました。
すなわち、徳川慶喜の命と、多くの旗本の命を救った。
もし戦になっていれば徳川方の敗北は必至。そうなれば、江戸城内の畳という畳は、切腹する旗本の血によって赤く染まり切っていたことでしょう。
慶喜の命すら、危うかったかも知れません。

同時に彼は、江戸市民の命も救った。
当時の江戸は、世界でも有数の150万の人口を誇る大都市でした。
戦乱になり江戸が廃墟と化すれば、現世の地獄絵図が出現することは間違いありませんでした。


しかし彼が本当に救ったのは「日本」そのものだと思います。
「日本」という国が、日本人としての誇りを保てるか、外国の介入を招き、列強に隷属する国になるのか。
そのギリギリのところで、ほんの紙一重で、日本は救われた。

そして、もうひとつ大事なこと。
無血開城により日本を救ったのは、勝海舟ひとりの手柄でなく、勝と西郷の手柄でもなく、大久保一翁、山岡鉄舟、木戸孝允、広沢真臣、そして、平和的解決を望む多くの民衆…と、日本人の心が、最終的にはひとつになって生まれた結果であるということです。



歴史が、またひとつ大きく、前に進んだ瞬間でした。




追記:
今回で、江戸城無血開城の表舞台は終わります。
でも、皆さん、なんか物足りないと思っていませんか?
一昨年の大河ブームを巻き起こした、あの人達の活躍がない!?

次回は、無血開城の最終話として、あの人達の努力を記して、完結としたいと思います。






(主な参考資料)
その時歴史が動いた「勝海舟」~江戸城無血開城はなぜ実現したか~(2003年)
幕末史(半藤一利著)
図説・幕末戊辰西南戦争―決定版 (歴史群像シリーズ)
一冊でわかるイラストでわかる図解幕末・維新―地図・写真を駆使 超ビジュアル100テーマ オールカラー (SEIBIDO MOOK)



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