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「坂雲」第8話解説~臥薪嘗胆~


日清戦争から日露戦争までの流れを追ってゆきたいと思います。



日清戦争は、いわば朝鮮の利権を争う日本と清との戦争。
それを遠くから眺める不気味な帝国がありました。


ビゴー風刺画(日清戦争)400


歴史の教科書で、上の絵を見た記憶が残っている人も多いのではないでしょうか。
ビゴーの書いた有名な風刺画です。
日本人と清国人が争って釣ろうとしている魚は、朝鮮ということになっています。
しかしその延長上にある遼東半島も実は日本は狙っていました。
漁夫の利を狙っているのは、ロシア帝国。


ロシア帝国


この領土の広さを見て下さい。
日本からすれば、アリと像ほどの違いがあります。
しかし、いかにも寒そうなところばっかりを領有していますよね。
それがために、悩みもありました。
他の国と交易をしたり、戦争をしようにも、冬になると港が凍ってしまうため、船が使い物にならなくなることです。
ロシアが一番欲しかったもの。それは、


不凍港


「凍らない港って、当たり前でしょ?」
日本の主要な港はまず凍りません。
しかしそれが、ロシアからすれば羨ましくて仕方がない。


そこでロシアは考えた。
「日清戦争で勝った日本を脅して、どさくさに紛れて彼らが清から奪ったものを自分たちのものにしよう」


彼らは、日本が清から奪った遼東半島を三国干渉によって清に返させます。

ロシア人「遼東半島は清のものだから、東アジアの平和のために清に返してやれ」
(詳しくは日清戦争(2)を参照)


その後、ロシアは満州や遼東半島に鉄道を敷くなど、実行支配を強めてゆきます。
清は瀕死の状態。
各国に領土をいいように分配され、列強の奴隷に成り下がっていた。
清民の怒りがとうとう爆発します。

義和団事件


この状況に、ロシアはほくそ笑んだことでしょう。
満州に軍隊を派遣し、制圧し、軍隊を駐留されます。
清には、もはや抗議する力も残っていませんでした。
清と一方的に条約を結ばせ、遼東半島を満州ごと、清から実質的に奪ってしまうのです。

ロシア人「遼東半島と満州は今日からオレのもんだ!」

※「満州」とは、北東アジア一帯を指します


東アジア2(顔つき)


このコソドロのような行為についてはロシア内でも反対意見があったようですが、皇帝ニコライ2世にとり入った一部の過激派によって実行されてしまいます。

清は当然怒った…が、もはや抵抗する力を持たない。
清国人「何とか命だけは…お助けを」

日本も怒った。
日本人「結局は自分が欲しかったからオレたちに返すよう言ったのか!」

おとなりの朝鮮は…
朝鮮jpg「どーせ私は何言っても無駄だし…」


でも、日本が怒っても拳を振り上げることはできない。
アリが象に喧嘩をしかけるのはあまりにも無謀だったからです。
それどころか、「ぐずぐずしていると次は日本が侵される番だ」と戦慄した。




これ以降、日本では、ある言葉がスローガンになります。


『臥薪嘗胆』

※目的達成のため、ひたすら耐え忍ぶこと



「臥薪嘗胆」なんて言葉、最近は聞かなくなりましたね。
この言葉、もちろん中国の故事から発生した言葉ですが、当時の日本人の気質にピタリと合っている気がします。
とにかく、当時の日本人は、アリが象に勝つことを本気で願い、それまではどんな苦しみにも耐える覚悟をした。
そして、国家予算の半分にも膨れ上がった軍事費にも文句ひとつ言わなかった。

とにかく、日本人は、耐えた。



そのひとつの結果が、この時期に推進された大規模な海軍拡張計画。
通称

六六艦隊計画

戦艦6隻・装甲巡洋艦6隻を中核とするバランスのとれた大艦隊をつくろうという極めて無謀で野心的な計画でしたが、10年の計画により、最終的には海軍力を4倍以上に引き上げ、世界第5位の海軍国に躍進させます。
これにより、戦力的にロシアの太平洋艦隊よりやや優位を保つことになります。



そしてもうひとつ。


日英同盟締結


内容は、こういうことです。

「日本とロシアが戦争をした場合、イギリスは中立を守ります」
「その戦争に、第3国が介入した場合、たとえば、ドイツやフランスがロシアの助太刀をした場合、イギリスは日本に助太刀します」


イギリスは当時、南アフリカの植民地獲得戦争(ボーア戦争)でかなり被害を受けていて、東アジアの戦争にまで手が回らない状況でした。
つまりイギリスの狙いとしては、自分の代わりに、ロシアがアジアで勢力を拡大する防波堤になってもらおうと日本を選んだ。
悪い言い方をすれば「捨て駒」的なところもあったかも知れません。

日本としては、大国イギリスの後押しを得ることで、戦争・もしくは戦争回避に向けての交渉を有利に進められると考えた。
もうひとつ、イギリスが中立を守れば、ロシアのバルチック艦隊を遠くヨーロッパのバルト海から日本近海まで航行させる際、イギリス所有のスエズ運河も途中の港も使えないため、ロシアはバルチック艦隊の運行を断念せざるを得ないはず。
つまり「バルチック艦隊は戦線に投入できまい」という意識で六六艦隊は計画されました。




準備は整いつつあります。
日本がロシアとようやく交渉できるようになってから、日本はある提案をします。

日本人「満州はあなたにあげる、朝鮮は僕のもの」
(満韓交換論)


この日本の提案は、ある意味常識的なものでした。
ロシアの満州支配を認める代わりに、朝鮮は自分たちの好きにさせてほしい。
満州と朝鮮(=韓国)のお互いの利権を保証するというもので、遼東半島について日本は水に流そうという態度を取っていました。
これに対して、ロシアの回答は、


ロシア人「満州はオレのもの、朝鮮は誰のものでもない」


満州が自分のものであるのは言うまでもないという傲慢な態度。
その上、朝鮮を中立にするというのは、遼東半島をいったん日本から清に返したあとに自分のものにした策略と同じにしか見えません。
日本からすれば、遼東半島を清に返したとたんに奪われた悪夢の再来です。
朝鮮を放棄すれば、やがてロシアが奪うのは目にみえている。

この時のロシアの極東は、とんでもない傲慢野郎が実権を握っていたのです。
そのことが、後にロシアを戦争に巻き込み、帝国を破滅に追いやることになるのです。




時は至れり。
日本はロシアとの国交を断絶、戦争を決意します。

日本は飲まず食わずの日々を耐え、軍備を早急に整え、その士気はすこぶる高い。
ロシアは皇帝の専制政治に不満をもつ人を内外にかかえ、重病人のよう。
臥薪嘗胆により武装したアリと、見かけは巨大だが内蔵に致命傷のある象との戦争でした。




(主な参考資料)
『坂の上の雲』歴史紀行 (JTBのMOOK)
日露戦争史 - 20世紀最初の大国間戦争 (中公新書)
NHK高校講座・日本史「日露戦争」


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