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続・龍馬伝 (36)箱館決戦


龍馬伝第4部タイトル(雲の



夢は、夢である以上、いつかは醒める。
現実世界に夢を見る者は、それが現実であるために、一夜の夢にとどまらず何日も夢を見続けることができますが、それが現実であるために、夢が醒めた時には、残酷なしっぺ返しが待っているものです。

榎本の夢も、その時が近づいていました。
夢が、醒めようとしている。
その事を一番よく知っていたのは、榎本自身であったのかも知れません。
それを象徴するかのように、ある男が最期を迎えるのです。




五稜郭は、憂色に包まれていました。
矢不来が落ち、二股口も放棄した。
傷ついた兵士たちが、足取り重く五稜郭に戻り、死んだように横たわっていました。



信じられない事件が起きました。
軍艦・千代田形が敵の手に渡ったのです。
それも、戦闘による損失でなく、こともあろうに艦長が自ら放棄した結果でした。

兵士の給料すら払えない榎本軍が、それでもなけなしの資産を払って維持してきた軍艦を、たかだか座礁したという理由で、艦長が退艦命令を出したのです。
無人の軍艦は、潮が満ちると共にぷかぷかと流れだし、あっさりと敵の手に渡ったのでした。



榎本軍の士気の低下を象徴するかのような事件。
亡国の民の末路を暗示しているかのようでした。
榎本らの取るべき道は、3つ。
降伏か、玉砕か、または蝦夷の奥地に逃れ、長期戦に入るか。

降伏とは誰も言い出せず、艦を失い軍資金も底を尽きた以上、長期戦にも耐えられない。
…となれば、玉砕しか道はない。
榎本はこの時、死を覚悟していたのかも知れません。



【第36回】箱館決戦



5月7日。
夜明けと共に、敵艦隊が箱館湾深くに侵入してきます。
そこには、あの甲鉄の姿も見えました。

榎本軍に残された軍艦は2隻。
しかし、蟠龍は故障を起こし修理中。
残されたただ1隻の回天が、単身捨て身で、敵艦のまっただ中に突入します。


もはや失うものは何もない。
回天は、甲鉄に肉薄し、あらん限りの砲撃を浴びせかけます。
数発は確実に甲鉄に命中したものの、海上要塞の異名を誇るこの軍艦は、その程度で沈みはしません。
逆に、甲鉄も含む敵艦により回天は3方向から蜂の巣のように艦砲射撃を浴びせかけられ、最後は撃沈されてしまいます。


撃沈する回天2
(『日本テレビ年末時代劇スペシャル「五稜郭」』より)





5月8日。
榎本自ら、800の兵を率いて、五稜郭を出撃。
勢いに任せて敵に突入し、多量の死傷者を出して惨敗する結果に終わってしまいました。
それでも榎本の行動は、五稜郭軍の指揮を高めるのに成功します。

この機を逃さず、榎本軍は最後の反撃を試みます。
突貫で修理を行った最後の軍艦・蟠龍を出撃させたのです。



敵艦・朝陽が突撃してきます。
蟠龍は巧みに避けて衝突をかわすと、反転して、太陽を背にします。
開陽があれば、ものの数ではない敵でした。
開陽の代わりに、太陽を背にした蟠龍は、目が眩んで砲門の射程の合わない敵艦・朝陽に対し、容赦ない一斉砲撃を浴びせかけます。

―朝陽、撃沈。
使命を果たした蟠龍は、その後、敵艦隊から蜂の巣砲火を受け、回天と同じ運命をたどるのです。


撃沈する蟠龍
(『新選組!!土方歳三最期の一日』より)





軍艦を全て失った榎本軍。
邪魔者のいなくなった箱館湾内で、新政府艦隊は我が物顔で動きまわり、湾内から自由に艦砲射撃を行います。
海上の退路も遮断され、逃げ場を寸断されてゆく五稜郭軍。




箱館決戦
(クリックすると3倍に拡大します)



そこに、黒田清隆が現れます。
彼は、箱館山の裏側の断崖絶壁をよじ登り、山頂に軍を展開させます。
こうなると、頂上から五稜郭は完全に見下ろされ、榎本軍の行動はすべて手に取るように見ぬかれてしまう。
黒田は、この戦をできるだけ最小限の損失で終わらせるべく、榎本軍を威圧する作戦に出たのです。


箱館山に現れた黒田
(『新選組!!土方歳三最期の一日』より)




敵の総大将・黒田を粉砕すべく、男の意地をかけて、わずかな兵を従え、あの男が出陣します。




かつて、歴史の転換点に、真田幸村という武将がいた。
戦国の世が終わりを告げる、最後の戦。
大阪夏の陣。

世の中の変化に抗い、最後まで豊臣の恩に報いようとした。
四方を敵に囲まれる中、最後の突撃を試みた。
六文銭の旗。誇り高くたなびく。
狙うは、敵の総大将・徳川家康の首ひとつ。

赤備えの武士集団。
大軍の只中に少数で飛び込み、そして、命を散らしていった。





土方の勇姿
(『新選組!!土方歳三最期の一日』より)



この時の土方は、真田の突撃の再来であるかのようでした。
「誠」の旗を掲げ、新選組の生き残り50騎を従え、黒田のいる箱館山に向かって突撃します。



前方に見える敵。
歩哨の姿。

「名を名乗れ!」
叫ぶのが聞こえる。


「新選組副長、土方歳三」


大軍が押し寄せたかのような狼狽ぶり。
敵襲の鐘。
次々と現れる敵兵。そして、銃声。


「新選組、見参」
心のなかで叫ぶ。
銃声の嵐の中を、構わずに土方は突撃します。
狙うは、黒田の首ひとつ。


そして…打ち込まれてゆく銃弾。
土方は、体が宙に浮いてゆくのを感じていました。


誰かが支えてくれた。
近藤か、沖田か、他の誰かか。
懐かしい匂い。

視界が、狭まってゆく…


________________________________________________________


土方の死は、榎本に激しい動揺を与えます。


夢が、崩れてゆく。
開陽を失い、甲鉄奪取に失敗し、外国に対する箱館政権の承認も失った。
矢不来を破られ、二股口から撤退し、軍艦を次々と失った。
市街戦となり、多くの一般人をも巻き添えにした。



その光景は、まるで彼の心の中で夢が崩れてゆく有様を現世に現したようでもありました。


夢を失ったが故に、戦に負けたのか。
戦に負けたが故に、夢を失ったのか。




海軍を失い、陸軍の中核である土方を失った榎本軍に、もはや勝ち目はなくなったも同然でした。
為す術もなく、榎本は呆然と立ち尽くすのみ。




―その頃。
黒田清隆は、密かに和議の道を模索していました。
時流を射抜く目を持つ彼は、いつまでも不毛な内乱に時を費やしているべきではないと感じていたのです。
そして情に厚い彼は、一般人を巻き込む戦の惨状に疑問を持ち、同時に、捕虜を丁重に扱った榎本という男を殺すべきではないとも考えていました。

同じ頃、榎本軍の中にも降伏を模索する動きがありました。
榎本の水面下で彼らは接触し、和議の可能性を探ってゆきます。


…そして、榎本の元へ正式に降伏の使者が来ることになるのです。







(主な参考資料)
箱館戦争―北の大地に散ったサムライたち
幕末史(半藤一利著)
図説・幕末戊辰西南戦争―決定版 (歴史群像シリーズ)
一冊でわかるイラストでわかる図解幕末・維新―地図・写真を駆使 超ビジュアル100テーマ オールカラー (SEIBIDO MOOK)



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