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「坂の上の雲」 第4話「日清開戦」感想と解説


オリジナルの小説『坂の上の雲』と、NHKドラマ『坂の上の雲』
ひとつの大きな違いだと僕が感じるのは、この人の扱いにあります。


東郷平八郎


東郷平八郎



後の日露戦争における日本海海戦、つまりこの物語のクライマックスでその存在力の大きさを示す人物。
ただし、この当時は、ドラマでもあるように、いち巡洋艦の艦長に過ぎません。
小説でクローズアップされているのは、連合艦隊司令長官・伊東祐亨(いとう・すけゆき)。
ドラマでは登場すらしていません。

前回の東郷と真之のシーンといい、おそらくこのドラマ製作者の狙いとして、『坂の上の雲』という物語を、小説で述べられているような「日本という国家を主人公にした物語」でなく、もっと視聴者に分かりやすく、また見やすくするために「好古・真之・子規と、彼らに関わりをもつ人々の物語」にしたい意図だと思います。

…確かに、小説をそのままドラマにすると、なんだか高校の日本史の授業みたいになってしまいますからね。
(まあ、僕はそれでもいいのですが)



東郷平八郎については、司馬遼太郎さんはエッセイ『明治という国家』で詳しく述べています。
明治初期政権の最大の功労者といってもいい大久保利通と同郷(薩摩出身)であるだけでなく、大久保とは近所同士の付き合いをしていた間柄だったそうです。

彼はイギリスに留学し、年齢を10歳も若く詐称して、10代後半の入学生を迎える商船学校に当時26歳で入学していました。(おそらく学校側も黙認していたと思いますが)
当時入学していた外国人はおそらく東郷ひとりで、あとはみんな自分より10歳も若いイギリス紳士のおぼっちゃまばかり。彼も最初はバカにされたりいじめられたりしながら、それでも根気よく勉学に励んだのです。
彼の後年の粘り強さ、度胸の強さなどは、このころに育まれたのかも知れませんね。


ともあれ、彼が艦長を務める巡洋艦・浪速も参加した豊島沖海戦によって、戦端の火蓋は切られます。



ところで、

戦争=悪


これは当然のことで、どんなに美化された戦争であっても、その実態は集団での人殺しであることを我々は忘れてはいけないと思います。
そして、日本が、自らを破滅に追い込み、多くの隣国の尊い生命を奪った太平洋戦争はじめ多くの戦争の反省は当然しなければならないですし、その深い反省から生まれ、戦争放棄を謳った現憲法は今後永久に守ってゆかねばならない大原則であると僕は思います。


ただ、そのことと、過去の戦争に対して真正面から向き合い、正しく知ることは矛盾しない。
むしろ、日本が帝国主義思想に向かった背景や、当時の人々の「日本を世界の一等国にしたい」という純粋な思いに敬意を表することで、戦争の本質が見えてくるのではないか。
そう思うのですね。


人類は多くの不幸を経、いわゆる帝国主義的戦争を犯罪としてみるまでにすすんだ。
が、この物語の当時の価値観はちがっている。それを愛国的栄光の表現とみていた。
   (『坂の上の雲』第2巻より)



このようなイデオロジックなことを書くのは、一部の人々の間でこのドラマが戦争賛美だとの批判が出ているという噂を耳にしたので、自分の考えを述べてみた次第です。


僕が歴史に向かうスタンスは、龍馬伝のところでも少し言ったかも知れませんが、


現在の価値観から歴史を判断してはならない


この一点に尽きます。
あくまでも、当時の置かれていた状況、当時の常識、当時の考え方、そういったものをとことん問い詰めていくことこそが大事。もちろん、現在しか知らない我々は、当時のことを本当に理解するのは不可能なんだけど、そこにできるだけ近づく努力をする真摯な気持ちこそ大切。
そう思うのですね。




そんなことだけでこのレビュー終わってしまいそうなのですが…


船上の真之


今回のベストシーンはこれにします。
真之が、自分の部下を集めて豆を食うシーン。
「自分は人が思いつかんような作戦を考えることができるんだぞ!」と威張るのでなく、豆をぼろぼろこぼして、スマンのう、と言ってみたり、このシーンのようにみんなを集めて「もっと近う寄れや」と言ってみたり。
真之の人柄がよく現れていますよね。


この後、ドラマであるように、自分の命令によって部下を失います。

「もし、自分の命令によって人の命を奪ってしまったら…?」

それが仲間の命でも敵の命でも…敵といっても凶悪犯罪者というわけでなく、立場が違うだけで普通の人間なのですからね。
そう考えると、戦争がひとりひとりに与える影響力の大きさを思い知らされ、恐ろしくなります。
豊島沖海戦のような、小競り合いに近い小戦闘であっても、生者・死者関係なく多くの人々の人生を狂わされる結果になるのですから。



指揮官の是非を東郷に問う真之。


東郷と真之のビリヤード


伊予育ちの真之が、ビリヤードなんてできたの?リラックマ48「???」
まあいいや。たぶん、東京での学生時代に仲間と遊んでたんだろう。
そうしておこうリラックマ3「うん。」



(主な参考資料)
坂の上の雲〈2〉 (文春文庫)
「明治」という国家(司馬遼太郎)



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