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新選組血風録 第12話「最後の武士」感想


最終話の季節になりました。
今季、僕は民放のドラマを全く見なかったのですが(JINは例外です。あれはTBS大河ですから)、6月に最終話を迎え、7月から新番組、というところも多いのではないかと思います。
BS時代劇もその通例に従うようで、このドラマも完結してしまいました。

タイトルはそのもの「最後の武士」
そして、最後の感想。


「最後」はイマイチ血風録。


う~ん…リラックマ29「…汗」

前半はまだ良かったと思うんですけど、後半の無理やりフィナーレを迎えた感がどうもねぇ。
通年の大河ドラマならまだしも、たかだか11回のドラマで、最後に隊士の最後とかわざわざやる必要があったのかどうか。
というか、ほとんど活躍していない隊士もいたでしょ?
そんな人の最後とかナレーションで聞かされても、「いや、今回は、顔と名前が一致しただけでよしとします。ご愁傷さまでした」と、失礼ながらもそう言うしかない。

どうせなら、原作の1話をいつも通りスパッと入れて、「彼らは今日も、命をかけて戦いに挑むのだった」みたいなナレーションで「え?何?もう終わり?」とドッキリさせてくれた方が良かった。


※ただ、これは好き好きだと思います。
特に僕の好みとして、映画やドラマの最後に「彼らの人生の最後」みたいなのを入れられると、急に現実的になって、ドラマの世界から冷めてしまうんですよね。
映像の世界は永遠の世界として、最後まで自分を騙し続けてほしいんです。
非現実に入れ込むタイプなので、自分。



最初に毒を吐き出しました。
意見が違った方、すみません。

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天満屋事件


いきなり「天満屋事件」で始まったのは良かった。
度肝を抜かれました。
そして、斎藤一の「俺達は何をしているんだ。たったひとりを守るために、このような犠牲を…」のセリフ。
これが、新選組絶頂期に言われても何も感じないのですが、この時期に言われるから重いんですよね。
これからの新選組の未来を暗示しているようで、ずしりときた。


新選組の人気の秘密。
いろいろありましょうが、やはり、日本人の心に響くものがあるんでしょう。
判官びいきにも表れる、弱き者、消えゆく立場の者に対して喝采や応援をしたくなる気持ち。
滅びの美学とでも言うもの。
現代の自分はとてもマネはできないけど、だからこそ、それを貫く人達がとてつもなく輝いて見える。
そういった要素が、新選組に感じられる。
だからこそ、時空を越えた普遍的な人気があるのではないかと思うのですね。



「落ち目の新選組なんて見たくない!」という声もあると思いますが、僕自身は、上のような理由から、そういった新選組を描くのも映像的な美しさはとしてありだと思うんですね。
ただし、そこに哀愁が感じられないと。
ごつごつした大雑把な味付けだと、かえって逆効果ですね。




殿!殿は如何なさいますか!


この場面も好きですね。
配役の偶然か、松平容保がちょっと頼りない若殿様に見えたこともあって(出てきた時は、容保の家来かと思ってしまいました…汗)、優柔不断な若殿に活を入れたような雰囲気で、良かったと思います。
今回イマイチぱっとしなかった近藤勇の、最後の晴れ舞台となりましたね。



そして、緊迫感のないシーンが何となく続き…
土方も、お美代さんに「俺のこと忘れるなよ」みたいなことを言って…
歴史上の出来事がいろいろあって…
このあたり、すでに退屈モードリラックマ18「もやもや」




狙撃される土方


「最後の武士」土方歳三は、コンピュータ専門学生がレポートで作ったようなCGの砲撃を見ながら、無謀にも敵の鉄砲隊に単騎で突撃し、あえなく狙撃され死亡。
お美代が恋しいあまり、死んで魂だけでも京に飛んでいこうと思った模様。
最後に、沖田と近藤の亡霊を見る。

なんだこのテキトーな最期。
こんな情けない土方、初めて見た。



美代の後日談みたいなのがあって、血風録は、こうしてなんとなく終わる。
ちゃんちゃん♪





7月からは…テンペスト!
この蛇男が妙に気になってしょうがない。


テンペスト予告



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新選組血風録 第11話「菊一文字」感想


息を呑んだ…


お悠さんが殺された瞬間、まさかの展開に唖然としました。
予告でも完全に隠されていましたから。
それからラストまでの10数分は、本当に、息を呑む展開。

前回の、敵も見方もなく混沌とした展開でなく、今回は、完全に善悪がハッキリしている。
メリハリの効いた脚本の腕に、脱帽です。
…というか、こういうのをなぜ中盤できなかったのか?????
わずか10数回の中で、ここまで質が上下するドラマも、珍しいのではないでしょうか。




菊一文字を見つめる沖田総司


今回の見どころのひとつが、、沖田総司が、700年の時を経た「菊一文字」を眺めるシーン。
外面の瞳は刀を眺めると同時に、内面の瞳で、風前の灯火となりつつある自らの命を凝視している気がして、切なくもありました。
僕は刀のことは全然詳しくないのですが、700年ものあいだ存在しているというのは、並大抵のことではないと思います。平安から幕末までですから、歴史の重みは半端でないです。

それだけの期間、生き続けてきた刀が、今、自分の手元にある。
しばらく後で、自分の命のはかなさと対照的にみるセリフが出てくるのですが、その前に、すでに、そういった流れを予感させる場面があり、見ていて悲しくなりました。
労咳。刀では決して斬れぬ敵。
散々型破りな言動をしてきた総司だけに、天才剣士も病の前では無力であるという象徴的な場面だったと思います。




沖田を引きとって欲しいとたのむ土方


土方歳三。
はじめは「感情の起伏を表さない、何だかサイボーグみたいな人だなぁ…」と冷ややかに見ていたのですが、前回、弱みを見せたことによって、逆に人間味が増しましたね。
今回のセリフも、前回がなければ「鬼の土方がなにショボイこと言ってんだよォ」と視聴者に一蹴されそうなものですが、自分の弱さと向き合い、それを克服した今の土方だからこそ、他人(ひと)の弱さを知り、それを慈しむ心が出てくる。
そういった心情は、十分理解できるのです。

その心中を隠しあくまで「新選組のため」と言い繕う姿も、いじらしいものがありましたね。




土方と総司の真剣勝負


土方と総司の、文字通りの「真剣勝負」
700年、そしてこれからも生き続けるであろう菊一文字と出逢ってしまったからなのか、又は、お悠さんと再び出逢ってしまったからなのか、沖田総司の剣に、明らかに迷いがありましたね。
自分の命の短さを嘆き、命を惜しむという、武士にあってはならない迷い。

総司自身は「病のため、刀が思い通りに振れなくなった」と言っていて、土方もそう思っているふしがありましたが、僕は、沖田総司の心の迷いが、病という形になって現れたのだとみました。
改めてそう思ったのが、最後のシーン。




沖田と戸沢の一騎討ち


悠が死んだことで、何かが吹っ切れた沖田総司。
番組の建前としては「お悠の仇討ち」ということになるんでしょうが、僕は、お悠さんの死は、同時に、労咳に侵されて以来総司の心に巣食っていた「自らの命への執着」の死を意味するのではないか。
そうとらえました。

命の執着を断ち切った総司は、生と死に対する一切の迷いがなくなり、刀の重さに苦しんでいたのがウソだったかのように、菊一文字を自分の分身のごとく自在に扱うことができた。
例の人斬り(戸沢鷲郎)は「眼が違う」と言っていましたが、眼光はあくまで表面的なもので、死生観が、すでに変わっていたのです。
それを見抜けなかった戸沢は、総司に斬られて当然。
彼の剣舞に踊らされるように戦い、死んでゆくのです。




最後のチャンバラは、見ごたえがありました。
戸沢の二刀流も、なかなかカッコ良かったですしね。
最後に来た土方歳三は…別に来なくても良かったのでは…??


来週は…「それからの新選組」みたいな感じ?
100%のオリジナルになるようですね。
あんまりきれいにまとめられても困るのですが、まあ、最終話なので、無礼講でいきましょう!



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新選組血風録 第10話「油小路の決闘」感想


何だかまた、湿っぽいドラマだなぁ…


そんなこと思いながら、最初は見ていたんです。
美代に振り回される土方とか、どうなんだよ…と思いながら。
昔の時代劇って、こんな感じだったのかなぁ…と・・・


その流れを、近藤と伊藤の会談を足がかりに、急変させるんですよね。
土方の変化と、ドラマの流れを同調させる展開。
ドラマ仕立ては古風だと侮っていた『血風録』ですが、見直しました。


レベル高いし面白い!


ちなに今回の話は、原作とはかなり離れた、ほぼオリジナルストーリーです。
原作はというと、(こんなこと言うとまたもやファンの方に怒られそうですが)、伊東甲子太郎の入党から油小路の決闘までをほぼオーソドックスに文書で綴ったのみで、派手さはありません。
司馬遼太郎さんの格調高い文体で体裁を保っていますが、これをそのままドラマでやると、最低に退屈なドラマになるのは目に見えている展開でした。

今回は、ドラマ風に完全にチューンナップして、今までの『血風録』の中では第1話以上の最高の出来栄えになっています。
特に、前半と後半のギャップを、土方の心情の変化を軸に描き分けたのが素晴らしい。
45分間でここまで描き切ったことに、拍手喝采です。




近藤勇の首を取る


今回は光っていましたね、伊東甲子太郎。
前回、彼の新選組離脱の理由があいまいだと書いたのですが、今回のためにとっておいたのですね。
なかなか憎い演出をしてくれます。

御陵衛士の屯所で、堂々と倒幕論をぶちまける伊東。
最後にハッキリと「近藤の首を取る」と宣言したのには驚きました。
『新選組!』では、どちらかというと薩摩に取り入るためやや消極的な理由で、近藤暗殺を目論むのですが、この伊東甲子太郎は、もっと自立していました。
なかなかの野心家・活動家であり、将の器たる人物です。




新選組決別の証


近藤暗殺に志願した藤堂平助。
『新選組!』の、近藤と伊東の恩の間で苦しむ平助もいいのですが、今回の彼はまたひと味違っていて、完全に伊東寄りです。
しかも決別の証として自分が近藤を斬ると進言するあたり、幕末の武士らしいですね。
伊東も彼を信頼していて、このあたりの関係は、『新選組!』よりずっとストレートに描かれています。




近藤伊東対談



いや、ナレーションなくても2人が会うことは流れで分かるんですけどリラックマ10「飽きた」
ナレーション尽くしの龍馬暗殺劇を含め、あの抑揚のないナレーションはもっと削っても良いと思うのですが、どうなのでしょうか??

…それはともかく、近藤と伊東、


両者による囮作戦の激突


これは見甲斐があった。
新選組は局長を囮として総大将を討つ、御陵衛士もかしらを囮として総大将を討つ、しかも刺客は同じく2名と対比させ、近藤と伊東の決着と同時に、斎藤一と藤堂平助の人間ドラマにも決着をつけさせようとしたんですね。
この構図は、よく練られていると思います。

何より、この対談を美談で終わらせた『新選組!』より、遥かにリアリティがあった。
この回こそ「謀略の嵐」にふさわしい。




貴様はそんなに命が惜しいのか!


斎藤一と藤堂平助。
両者の決着は、迫力がありましたね。
さらに、平助のこのセリフが良かった!
武士の魂を見せられたような思いがしました。
最後に獅子奮迅の戦いをして果てる姿は、静かな音楽と相まって、感動を与えてくれました。
音楽が止まった瞬間のあのシーン…なんともいえない悲しさが漂った。




伊東の暗殺から油小路までがスピーディーで、後半は本当に息もつかせぬ展開。
残りあと2回ですが、中盤の中だるみは何だったのかと思うほど、終盤で蘇ってきました。

次回、まさかのお悠さん登場。
前回はプラトニックな関係で終わったふたりでしたが、ここで再登場させるとは、なかなか味なことをしてくれますね。
原作「菊一文字」をどれだけ巧妙に変えてくれるのか、楽しみです。



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新選組血風録 第9話「謀略の嵐」感想


完全に裏をかかれました。
原作では、伊東甲子太郎の登場から油小路の決闘まではひとつの章で語られるので(もちろん、他の章で伊東甲子太郎を登場させてもいるのですが…)、原作を忠実に守るこのドラマで、まさか2回に分けるとは考えていなかったので…
でも、そうして正解だったと思います。

そのそも伊東甲子太郎の人柄を描かないうちに油小路をしても、単なる歴史の解説にしかならないことは目に見えていますからね。
それより、1回目で伊東と土方の対立を十分に煽っておいて、2回目で油小路をやる方が、俄然面白い。
特に今回は、「丹藤の焼き討ち」というオリジナルストーリーを見事に絡ませて、原作を知っている人でも新鮮な仕上がりになっていたと思います。

※ただ、「謀略の嵐」というほど謀略が繰り広げられたかというと、すこしクエスチョンですが…




伊東甲子太郎


今回、そして次回と、ドラマの主役になるべき男。

伊東甲子太郎
(いとう・かしたろう)


それにしてもこのドラマ、地味な役者さんを使うの好きですよね。
原作で彼の容貌を「白皙秀麗」(つまり、顔立ちが整っているということ)と評され、しかも、野望もあり頭も切れる人物なのですから、贅沢をいうともうちょっとハンサムな人を起用してもらいたかったな。

それはともかく、この伊東甲子太郎。
最終的にはドラマにあるように新選組を脱することになるわけですが、その理由が少し弱かったという気がします。
タイトルに「謀略の嵐」と付く以上、彼の新選組内部における謀略劇をもうちょっと見てみたかった。
一説によると、彼は新選組内部において造反組を50~100名近くまで増やした上で、内部クーデターを起こし、近藤・土方らを失脚させ(=暗殺)、新選組を乗っ取ろうと考えていたとも言われています。
やがて世は薩長が握るであろうという目論見から、幕府を見限り、薩摩と行動を共にしようというのです。
これがもし本当であるとすれば、やはり慧眼の士であると言わざるを得ません。

最終的には分離の道をとったわけですが、そういった新選組切り崩しの手腕をもっと鮮やかに描いてくれたら、新選組分裂の危機感をさらに強烈に印象づけたこともできたでしょうし、緊迫感も増したと思う。
もしくは、彼が胸に秘める「勤王・倒幕」の思想をもっと全面に出し、近藤・土方らの佐幕思想とのイデオロギー対立をもっと全面に出す。
そういった、ドラマを盛り上げる演出をもっと行っても良かったのではないかと思います。

どちらにせよ、オーバーリアクションの脚本が、どうも苦手なんですよね。
このドラマは・・・




毒をもって毒を制す


伊藤と土方の対立以上に面白かったのが、近藤と土方の対立。
前回の「士道不覚悟」の流れを引きずっていて、おもしろかったです。
近藤の出した茶を拒む土方など、細かい演出もされていましたし。

対立するふたりですが、最終的に伊藤暗殺では一致し、半ば卑劣な手段で御陵衛士を粛清するわけですよね。
そのあたりのことは来週でしょうが、なかなかおもしろくなりそうです。




丹藤・炎上


今回のクライマックスシーン。

丹藤を燃やすとは、予想外でした。
土方と恋仲でなったことを、ここにつなげるのですね。
なるほど・・・
このドラマの比較的静かで地味な演出のおかげで、別に泣けるシーンにはなりませんでしたが、脚本の流れとしては面白味がありました。




全体的に静かな演出のため、落ち着いて見られる時代劇に仕上がっていますね。
感想記事も、そのためか妙な解説口調になっていますが…

原作や『新選組!』と比較しても、藤堂平助の扱いが変わっていたり、近藤と土方の齟齬、丹藤の一件など、オリジナル要素を出していて、ひとつの作品として味のある仕上がりになっていると思います。
欲を言うと、伊東甲子太郎のキャラをもっと特徴付けたり、ドラマティック要素をもっと出してくれたら良かったのですが、これは個人の好みの問題であるような気もしますし。

とにかく、ここにきて、おもしろさ回復ですね。
来週も、楽しみです。



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新選組血風録 第8話「臆病者」感想


小説版『血風録』、あらかた読み終えました。


少し分かってきたことがあります。
この短篇集のからくりのようなもの。

ひとつひとつの短編はそれぞれ独立した完結型の物語なのですが、それぞれにクローズアップするキャラクターを変化させていて、たとえばある回では沖田総司の狂気じみた明るさを描き、ある回では氷のように冷徹・冷酷な土方を描き、別の回では土方の茶目っ気のある一面も描き、またある回では自分の役割に忠実であろうとする山崎の姿を描き・・・・
徐々に「司馬流新選組」のキャラクター像が頭の中で構成されてゆくんですね。

そして、頭の中にある新選組のオーソドックスな歴史年表の上に、いわばサイドストーリーとして、それぞれのエピソードが組み込まれてゆく。
全部を読み終えたときに、司馬遼太郎プロデュースの新選組ストーリーが出来上がっているわけです。

何回も読み込めば、また別の味が出てくるのも知れませんね。

________________________________________________________

前置きは以上。
今日のドラマ感想に参ります。

第一印象。

なかなかやるやん血風録。


ついに本気出したな。
僕が「演出ダメ、ナレーション多すぎ」と口酸っぱく言っていたのが天に届いたのか(制作陣に届いた?)、今回は意味不明のキラキラ演出もなく、ナレーションもかなり控えめ。
もちろん、過剰演出っぽいところもありましたが、あれはドラマの特徴として、十分納得出来るレベルです。
何よりも、今まではナレーションで済ませていたところを、隊士たちの会話にさりげなく盛り込んだり、視聴者の集中力を途切れさせない工夫をしているところが評価できます。


辞めずに良かった血風録。


前回・前々回とは、演出家が変わったのか?
これは第1話以降の良作です。


※ちなみに原作を知らない方のために言っておくと、今回は原作の筋を生かしつつも、ニュアンスをかなり変えてきています。
原作は割に淡白な物語なのですが、それをドラマティックにアレンジしている。
特に、「士道不覚悟」という法度をテーマとして全面に押し出しているので、見ていて非常に分かりやすい。
キャラの立ち位置を変えてきているので、近藤、土方、長坂、それぞれがカッコ良く描かれている。





局長のお言葉だが…


原作にはない、ドラマオリジナル脚本ですが、非常にいい。
というのは「近藤と土方は固い友情で結ばれていて、それが新選組の核となっている」というのが新選組お約束のパターンで、第1話でも土方は「おれはあんたについて行く」みたいなことを言っていた。
ただ、組織が大きくなり、様々な問題が浮上してきたときに、ふたりが果たして一枚岩でおれたかどうか。
一枚岩スタンスを貫くのもひとつの方法ですが、逆に今回のように、ふたりの間に多少の溝ができてしまうというのは見ていて新鮮でした。
土方が主人公のドラマならでは、という感じがした。

それと、土方自身のつぶやきや、永倉・原田級の隊士でも土方にまともに意見がいえないということなどを通して、土方の威圧的でダークな面を見せることができて、良かったと思う。
なかなか「鬼の副長」にふさわしい恐怖感を与えてくれました。




長坂小十郎


今回、土方と同格の主人公、長坂小十郎。
彼のキャラクターがしっかりと描かれていたのが、今回の成功の最大の要因だと思います。
剣の腕も立つ、算術や医術の心得もある、そして何よりも鬼の副長に堂々と意見を言う度胸がある。
「こんな人間が、主だったメンバー以外にいたんだ…」
意外な感じでした。

そんな大物の彼がなぜ新選組の歴史に名を連ねていないかは…最後に明らかになるんですね。
風のように登場し、風のように去っていった長坂小十郎。
彼と中倉主膳はおそらくは現在修行中の俳優さんでしょうが(ちょっと棒読み的なところもありましたし…)、ふたりとも特徴的な顔をしているので、これから頑張ってもらいたいですね。




居合


居合い、かっけぇリラックマ27「上昇」

しかも無数のろうそくが幻想的


司馬遼太郎『血風録』の特徴として、剣術の描写があります。
天然理心流・北辰一刀流以外にも様々な流派が登場し、真剣勝負の描写は無骨ながら緊迫感をもって書かれているのですが、斬り合いの専門用語も多く、今ひとつ想像しにくいんですよね。
そこを映像で分かりやすく描いてくれるなら、映像化する意義はあると思います。
今回は、いつもの動きまわるばかりの勝負でなく、居合いの「静」に対して他流の「動」を対比させていて、緊張感がありました。




さて、次回は油小路の決闘。
伊東甲子太郎の登場から一気にそこまでいくのか、そうだとすれば、場面をどう選ぶのか。
ナレーション地獄になる危険も秘めている回ですが…
今回の「士道不覚悟」の流れを踏襲しつつ新たな展開を見せてくれたら、新しい油小路を切り拓けると思うのですが・・・・
あとは、伊東甲子太郎を魅力的に描けるかどうかですね。



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